アクロイド殺し アガサ・クリスティ

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
(2003/12)
アガサ クリスティー

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<あらすじ>
田舎町キングズ・アボット村で地元の名士ロジャー・アクロイドが刺殺されるという事件が起きた。事件の直後に失踪したアクロイドの養子ラルフ・ペイトンに容疑がかかる。
しかし、アクロイドの姪でありラルフの婚約者フロラ・アクロイドはラルフの無実を信じ、ある探偵に助けを求めた。探偵業を引退して田舎に引きこもっていたエルキュール・ポアロは、事件の調査に乗り出す。


ポアロシリーズ三作目。クリスティの数ある作品の中でも1,2を争う傑作と名高く、推理小説史上かつてないほどの論争を巻き起こした問題作、それがこの「アクロイド殺し」です。
このアクロイド「殺し」っていうストレートで力強いタイトルが良いですね、アクロイド「殺人事件」よりも強烈な印象を与え、問題作らしい荒々しいタイトルだと思います。

この作品、珍しいことに我らがモナミ、ヘイスティングズではなく村の医師ジェイムズ・シェパードによる一人称の小説です。そもそもポアロシリーズの長編33篇中、ヘイスティングズが出てくる作品は8篇で、意外と少ないです。ヘイスティングズがいない作品はポアロが主役の三人称の小説が基本です。ごくまれに、ヘイスティングズ以外の人間で一人称の作品があります。で、そのまれな作品が「アクロイド殺し」なわけですが、シェパード医師の語りはヘイスティングズと違ってボケたところは少なく真面目で落ち着いた雰囲気です。もっともポアロは「あなたはわたしの友人ヘイスティングズに似てますね」と言っておりますが。この作品、ヘイスティングズが南米に渡った後、探偵を引退したポアロが隠居生活のためキングズ・アボット村で南瓜作りに励んでいると言う設定です。
この作品の後、シリーズ3作目なんですからおわかりでしょうがポアロは探偵業を再開します。他の作品でもちょくちょくポアロは引退してるから仕事をやんないよと言いますが結局、最終作品「カーテン」まで探偵を続けることになります。読者の要望が彼の引退を許さなかったんでしょうね。

この作品、あるトリックが使われていること以外はクリスティの基本パターンな作品です。のどかな田舎町で突然起こる悲劇、隠された過去の事件、容疑をかけられた若者、どの人物も隠し事を持っていて怪しい、と他のクリスティ作品でもよく見受けられる設定です。ですが、あるトリックが他のクリスティ作品どころかそれまでの推理小説にない斬新すぎるトリックだったため、ありゃあ大変、当時のミステリー界は荒れに荒れます(このトリックは他の著者の作品ですでに使われていたが、長編では初めて)擁護派で有名なのはクリスティと並ぶミステリーの女王ドロシー・L・セイヤーズ、否定派で有名なのはヴァン・ダインの二十則で有名なS・S・ヴァン・ダイン。

この作品はあまりにも有名すぎてネタバレ率が高いので、早めに読むことをお奨めします。ネットを検索してるだけでネタバレされたり、普通にこの作品のトリックをネタバレしてる初心者に不親切な本があったりします。
また、このトリックは、今ではよく使われることの多いトリックであるため、あっさり気づいてしまう人もいるでしょう。ですからミステリー初心者のときに読むのが一番いいと思われます。

自分はネタバレをくらって読んだため、多くの人が感じたであろう衝撃に震えることができませんでした。2ちゃんのクリスティスレを読んだ昔の俺のバカ!バカ!orz
ですが、ネタを知っていても面白い作品だと個人的に思います。この作品は決してあのトリックだけの作品ではありません。失踪した男の居場所、村の住人たちの秘密、犯人が仕掛けた数々のトリックなどたくさんの見所があります。
そして、あのトリックのため、いかにクリスティが周到に伏線を張ったか、それを確かめるのも面白いでしょう。

推理小説史に燦然と輝く「アクロイド殺し」トリックを知る知らないにかかわらず面白い作品です。
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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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