誰の死体 ドロシー・L・セイヤーズ

誰の死体? (創元推理文庫)誰の死体? (創元推理文庫)
(1993/09)
ドロシー・L. セイヤーズ

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<あらすじ>
建築家が住むフラットの浴室に、ある朝見知らぬ男の死体が発見された。男は全裸で、身につけているものといえば、金縁の鼻眼鏡と金鎖のみ。いったい誰の死体なのか?
この謎に貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿が挑む。


アガサ・クリスティと並ぶ英国ミステリーの女王ドロシー・L・セイヤーズのデビュー作です。
それでいて彼女が書き続ける事となるシリーズ作品の探偵ピーター・ウィムジイ卿のデビュー作でもあります。

ドロシー・L・セイヤーズのピーター・ウィムジイ卿ものはウイットに富む会話、ユーモアが特徴だとされていますが、個人的にデビュー作ではそこまでその特徴が表れてるようには思えません。(自分が作風やノリに慣れていない、掴めていないというのもあると思うけど)
それらの特徴が顕著になるのは2作目からで、この作品はまだ慣らし運転といった感じがします。その分、ストレートに謎を追いかけるミステリー作品となってます。

ウイットに富む会話、ユーモアといった特徴は抑え目だけど、貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿のキャラクターは1作目から発揮されてます。
この人、特に仕事もせず本の収集といった趣味に時間を費やすぐらいお金に困ってない貴族です。探偵も趣味でやってるぐらいのお気楽さ。
このノホホンさがあるから古典を引用しながら友人のパーカー警部に皮肉を言っても嫌味ったらしさがありません。同じく引用癖があって皮肉を言いまくる探偵ヴァンスとは大違いだw
彼は貴族であり金持ちであるためか、そういう身分でお約束の執事がいます。この執事のバンターも良いキャラをしてます。
ピーター卿に忠実であり日常生活だけでなく探偵の仕事をする時も彼を助ける優秀な従僕です。
他にピーター卿の母親である先代公妃や彼の友人パーカー警部といった脇役たちも魅力的です。それらのキャラクターはピーター卿がそうであるようにほのぼのとしており、今作だけでなくピーター・ウィムジイ卿シリーズの作風自体も牧歌的な空気があるように思います。殺人を扱ってるミステリー作品なのにねw

牧歌的な空気だけでなくピーター・ウィムジイ卿シリーズのミステリーとしての特徴もこのデビュー作によく現れてるように思います。
ピーター・ウィムジイ卿シリーズは(全部読んだわけではなく前半の5作までしか読んでないので、全部がそうだかはわからないのですが)あまりフーダニット(誰が犯人か?)に重点を置かない作風であるように思います。
『誰の死体?』という作品はもちろんミステリー作品であり殺人事件の死体が出てくるので、犯人が誰であるかを突き詰めていきますが、途中で犯人が誰であるかを探偵が一人に絞ってしまいます。同じ英国推理小説家であり女王のクリスティが、容疑者を集めて誰が犯人であるかを探偵が指摘するまで犯人を隠していくスタイルとはだいぶ違っています。
ピーター・ウィムジイ卿シリーズだけでなく『赤毛のレドメイン家 イーデン・フィルポッツ』『赤い館の秘密 A.A.ミルン』といった有名作品も途中で犯人が判明するいうスタイルなので当時の英国ミステリーでは割とポピュラーなスタイルだったのかもしれません。

そういったスタイルのミステリー作品は犯人が判明した後、探偵と読者は犯人がどうやって犯行を行ったのか、動機、証拠といったものを追いかける事になります。
『誰の死体?』ではタイトル通り死体の謎が最後まで中心です。
謎の死体が犯人とどう結び付くのかがこの作品のキモです。
あっと驚くようなサプライズはないけど、なかなか面白い真相だと思います。
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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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