草原の風(上) 宮城谷昌光


草原の風(上) (中公文庫)草原の風(上) (中公文庫)
(2013/09/21)
宮城谷 昌光

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<あらすじ>
高祖劉邦が建てた漢王朝は数代後、王莽により簒奪されて新という国が誕生した。しかし、王莽の統治も次第に綻びが出始め、新帝国は混乱していく。劉邦の子孫劉秀そんな時代を生き、成長し、ついに飛躍の時がやってくる。


漢の高祖劉邦から後200年、蜀漢の昭烈帝劉備からさかのぼる事200年、日本人にとっては時代の狭間のような時代、後漢建国の英雄光武帝劉秀の物語が今作『草原の風』です。
この先祖と子孫と比べて日本ではマイナーな光武帝をあの宮城谷さんが小説として書いたというわけです。

上巻は宮城谷さんのお決まり通り、劉秀がすぐに歴史の舞台に立つのではなく、歴史には書かれる事がなかった劉秀が表舞台に立つまでの物語が書かれています。
もっとも劉秀が長安(常安)に留学する事や陰麗華との結婚なんかはちゃんと歴史書にも書かれてますが。
わずかに歴史に残るエピソードを繋げて、劉秀が成長するまでの物語を作っていくってのは、まさに宮城谷さんの得意分野。『太公望』なんか下巻の後半以外、そんな感じだったもんなあ。

田野で働いていた劉秀は、長安(常安)へ留学し学問を修め、数々の友人や陰麗華という運命の人と出会い、劉秀は成長していく。
…といったものがおおまかなあらすじなんですが、この劉秀の成長物語を進行させつつ、簒奪者王莽が統治する新という国の情勢や時代背景を自然に説明していくのが上手い。
全然詳しくない自分でも、この時代についての知識がすーっと頭に入っていくし、新という国が崩壊していくまでの流れが自然に理解できるようになってます。

上巻は時代背景の説明と劉秀が後に英雄になるという説得力を持たすための成長、そして後の伏線に費やされています。戦乱の時代で劉秀と戦う事になるであろう人物や味方となる人物が出てきて、わーこいつが敵になるのか!お、こいつは知ってるぞ!って感じでワクワクするんですよね。
妻を娶らば~で有名な陰麗華。雲台二十八将として有名な鄧禹、朱ユウなどなど…。
はやく劉秀が中原で大暴れする時の話が読みたいぜ!ってワクワクしてきます。

上巻の終盤、有名な“赤眉の乱”が勃発。新帝国の各地で反乱が起こり、新の崩壊が始まります。
そして、兄劉エンとともに劉秀も挙兵の時が。しかし、劉秀にとって、この挙兵は決して晴々しいものではなかった。
母が死に、葬儀もする事もできない。悲しみを心に持った中で劉秀は武器を手にする事になる。
この時、劉秀、二十八歳。…まだまだ若いなあ。
そんな感じで中巻に続く事になります。


…ところで急に死んでしまった韓子はなんだったんだろう?この人の死は何か物語に意味がある事なんだろうか。ときたま、よくわからん登場人物が物語にたいして影響を与える事も無く登場して退場する事が宮城谷作品にはあるな。
『沙中の回廊』の士会のお嫁さんが周王室のお姫様である事って特に意味もなかったみたいな感じで。本当は意味を持たせるつもりだったけど、忘れてしまったのか、予定を変えたんだろうか。
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