魔女の隠れ家 ジョン・ディクスン・カー

魔女の隠れ家 (創元推理文庫 118-16)魔女の隠れ家 (創元推理文庫 118-16)
(1979/04)
ディクスン・カー

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<あらすじ>
チャターハム監獄の長官を務めてきたスタバース家には、当主が首の骨を折って死ぬという伝説があった。先代の当主も「魔女の隠れ家」と呼ばれる絞首台の近くで首の骨を折って死んだ。それから二年後、当主の座を相続するため監獄の長官室で相続のための行事が行われる。当主となるマーティンを守るため厳重な警備が敷かれるが、またしても首の骨を折って死んだマーティンの遺体が発見される。この奇怪な事件に辞書編纂家ギディオン・フェル博士が挑む。


ジョン・ディクスン・カーは日本ではあまり有名ではありませんが密室、不可能犯罪の巨匠と称賛され、アガサ・クリスティ、エラリー・クイーンといった超有名推理小説家と並ぶと称されるほどの推理小説家です。彼の作品から日本の多くの推理小説家も多大な影響を受けています。そんな彼の作品の代表的探偵ギディオン・フェル博士のデビュー作がこの『魔女の隠れ家』です。

カーといえばクリスティと比べて癖の強く難易度の高い作品が多いと思われているふしがあります。実際、クリスティと比べて難解な言い回しもあったりして読みにくかったりします。これには作品によって良質でない訳があったり、クリスティほど再版されることがないので訳が古かったりするのも理由かと思われます。個人的にはカーの癖のある文章や古めかしい訳も慣れれば気になりませんし、むしろそれが良いとも思えるんですけどね。


カー初心者にもお薦め
密室の巨匠と呼ばれるカーの作品を読んでみたいよー、でもどれも難しそう~、というそんなあなたにピッタリな商品をお薦めしましょう!それがこの『魔女の隠れ家』。
カー特有のしつこくて過剰な文章の装飾も控えめで初心者に安心!詰め込み過ぎて内容把握に手間取るということもなく、ほどよい情報量!しかもページは約300ページで仕事や学校で時間の無い方にもお薦めです。
それでいて怪奇、オカルト、ロマンス、意外な犯人といったカーのお決まりも押さえております。しかも今回はカーには珍しく暗号付き!まさにお買い得です!今回は、カーの代名詞と言ってもいい密室は残念ながらありませんが、代わりのトリックが用意してありますのでご安心を。どんな内容かは・・・おっとこれは商品をご購入いただいてからのお楽しみ♪
さて、そんな作品の気になるお値段は創元推理文庫ですとなんと定価で560円!(消費税が加算されます)まあ!実に普通の値段♪
フェル博士のデビュー作であり初心者にもカー愛読者にもお薦めの『魔女の隠れ家』、ぜひ手に取ってみてください!


カーの情景描写
カーの良さといえば、情景描写の巧みさにあると個人的に思っています。クリスティと比べて情景描写に紙面を割く量が多いです。(逆にクリスティが簡素すぎると言う人もいるけど)
『魔女の隠れ家』ではそれがいかんなく発揮されています。
アメリカから来た青年ランポールの目を通して描かれる大都会アメリカにはないイギリスの美しく風情のある風景、冒険を予感させる夜を走る汽車、湿原にそびえる不気味な監獄、そして雨のなかのイギリス。カーって雨が降るじめじめした不気味でどこか心地良い雰囲気ってのが抜群に上手いなっていつも思う。ただ大雨に雷ってのが異様に多いなとも思います。


フェル博士
この作品の主人公であり探偵役でもあるギディオン・フェル博士、作品に描かれる彼の姿はとにかく巨体でデブで眼鏡(ひどい言い草)、そんな目立つ見た目なのに、あまり出しゃばらず控え目です。
彼のユーモラスなキャラクターは面白いのですが、フェル博士は探偵として事件を推理し解決はするができるだけ黒子役に徹している気がします。
ワトソン役といってもいい(といっても第一人称で語り役になるわけではない)ランポールの方が主人公っぽいです。
フェル博士ものは探偵はできるだけ事件を解決するためだけの装置であり、物語の視点と主役は別の人間であるというパターンが多い印象があります。
カーの他の探偵たちと比べてよりそう思うのは、フェル博士が温厚な性格だからだろうか。


※ここから続きはネタバレがあります
犯人はフェル博士、ランポールとともにスタバース家の儀式を行うマーティンの様子を見ていたトーマス・ソーンダーズである。
儀式を見守っていたランポールが不吉に予感に駆られて監獄に駆け付けると、マーティンの死体が発見されるというのうが事件の流れで、そうなるとランポールといっしょにいたソーンダーズに犯行は不可能。
が、実際は、儀式を行っていたのはマーティンの従弟であるハーバードであった。彼がマーティンに変装していたのである。もちろん、これはソーンダーズの仕掛けたトリックで、儀式がおこなわれる前にマーティンを殺害していたのである。
よくあるアリバイトリックですが、実に効果的な使い方で(ちょっとばれないんだろうかと心配になるけど)伏線の張り方も巧妙です。

余談ですが、Amazonなどのレビューだとこの作品は不可能犯罪ものだというレビューをよく見かけます。
これってかなりのネタバレじゃないだろうか。この作品は密室も足跡の無い殺人もないので、そうなるとレビューを見た人はアリバイがあって殺害が不可能な人間が犯人だなと気づいてしまう。
こういう配慮の足りないレビューはやめてほしいなあと毎回思う次第です。
自分もネタバレの注がないレビューだと気をつけねば。

推理と関係ないことですがこの作品のカップルランポールとドロシーはいいですね。初々しさ全開でこっぱすかしくなるとともに2828してしまいます。
この二人のその後をエピローグでやってくれたら、言うこと無かったのになあ。
まあ、犯人であるおっさんのめっちゃ小者な告白と題した言い訳も面白かったんだけでねw
カーは面白いおっさんが毎回出てくるのも特徴じゃないかなと思ったり。もちろん主役であるフェル博士も含めてね。
ランポールとドロシーの二人がどうなったか気になる人は、次回作の『帽子収集狂事件』にちらっとですが二人のその後が書かれているのでチェックをどうぞ。
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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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魔女の隠れ家 ディクスン・カー ネタバレ感想

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