ローマ帽子の謎 エラリー・クイーン

ローマ帽子の謎 (創元推理文庫 104-5)ローマ帽子の謎 (創元推理文庫 104-5)
(1960/12)
エラリー・クイーン

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<あらすじ>
衆人環視のローマ劇場の中で、突然、弁護士の毒殺死体が発見される。リチャード・クイーン警視の指揮の下、警察は捜査を開始するが、これといった証拠も手掛かりも見つからない。唯一の手掛かりといえば被害者のシルクハットが紛失していたことのみ。『シルクハットが無くなっていた』ことだけを道しるべに、エラリー・クイーンの捜査が今始まる。


フレデリック・ダネイとマンフレッド・リーの共同ペンネームであるエラリー・クイーンのデビュー作にて、著名な国名シリーズの一作目です。
一作目なためか、探偵であるエラリー・クイーンの出自や設定がはしがきに書かれております。こういう設定なんかは作中にちょっとずつ小出しにしていけばいいんじゃないかと思うんですけど、最初に厳密な設定やプロフィールを決めて読者に提示するなんて作者二人の生真面目さがうかがわれます。または、設定厨なだけだったのかも。コレクターだったりアンソロジーを作ったりとオタクであったことは確かでしょうな。

クリスティ、クイーン、カーの三人を世界三大推理小説家とする人もいるらしく、過去現代の日本の推理小説家も影響を受けた方が多くて、エラリー・クイーンは日本では、アガサ・クリスティと並ぶ知名度や人気を博した海外古典推理小説家です。

その特徴は、厳密な捜査などにより情報を読者に全て公開するフェアプレイ精神、読者へゲームの参加を呼び掛ける『読者への挑戦状』、これしかないと思わせる推理の論理性とかなんでしょうがこの作品ではそれらが完成されているとはいえないと思います(そのことについては後で書きます)
また、展開の起伏もとぼしく地味な捜査が続くので退屈と思う人もいるかと思われます。これらのことから初心者には向かないんじゃないかなあと思ったり。(えてしてデビュー作というものは初心者に向かないことが多い気がする)

ですが、エラリー・クイーンという探偵と、その父であり良き理解者であり相棒でもあるパパ・クイーンことリチャード・クイーンの人となりを知るにはこの作品が一番だと思います。
推理小説家でインテリでそして探偵であるエラリー、厳格で有能な警察官リチャード。エラリーの推理力、リチャードの指揮力、二人の仕事ぶりもいかんなく発揮されています。
二人の親子関係を知るのにもやっぱりこの作品が一番。お互いを助け合い信頼している二人の関係が良いです。ちょくちょく頭の良さをひけらかしてパパをからかってみたり、そんな息子を怒ってしかったりしている二人も微笑ましい。クイーンに女性ファンが結構いるのはこの親子関係に2828しているからに違いないw

この作品のキモはあらすじにあるとおりシルクハット、“帽子”です。
劇場は封鎖されてくまなく捜査されたが“帽子”は一向に見つからない。何故、見つからないのだろうか。
“帽子”は何故持ち去られたのか?どこに消えたのか?誰が持って行ったのか?
この“帽子”の謎を解き明かすのがこの作品のメインです。


※ここから続きはネタバレがあります
・“帽子”は何故持ち去られたのか?

エラリーたちは被害者が強請を生業としていたことを突き詰め、シルクハットの中に強請のための書類 を隠していたことまで突き詰める。そうなると、犯人はその書類を手に入れるためシルクハットを持って行ったのではないか。


・“帽子”はどこに消えたのか?

実は劇場の衣装部屋に隠していた、いや隠さずそのまま掛けて置いていたのだ。衣装部屋にはたくさんのシルクハットが掛けられていて、しかも被害者のシルクハットとそっくりだった。警察の捜査が終わるまで犯人は衣裳部屋にシルクハットを掛けて置いて一通り捜査が終わると、堂々とシルクハットを被って外へ出たのだ。

シルクハットの隠し場所はけっこう簡単。正直、警察気づけよと思う。


・“帽子”は誰が持って行ったのか?

ここでエラリーは推理する、“帽子”を持って行った犯人は被害者を殺した犯人でもある。そうなると誰が犯行を行ったのか。
犯人は俳優として劇に出演していたモーガンバリーである。彼の配役は主役ではなくわき役なので、途中で劇を抜け出して被害者のもとへ行けるはずだ!

うん?モーガンバリーのアリバイや劇でのスケジュールが作中に言及されてたっけ?あれ、書かれてないぞ!

ちゃっとこれはアンフェアちゃうか!推理するための情報を全て公開しているとは言えない気がしますよ。看板に偽りありじゃない?
わき役でもずっと出ずっぱりの役の可能性もあるんとちゃいます?
まあ、そもそも主役でも出ずっぱりってことがないんだから、ましてやわき役なら主役より可能性はある!ってことかもしれません。そもそも作者は関係者についてのアリバイなんてほとんど言及してないんで、アリバイはありませんってことを暗に行ってるのかもしれません。
重箱の隅をつつくみたいなことしてるかもしれませんけど、やっぱり納得できないなあ。
それに彼以外犯人はありえないと思えるほどロジックが強固だとも思えませんし。

そこらの欠点はデビュー作ということでまだまだ未熟だったってことかもしれません。
面白くないとはいいませんけど、正直言うと、400ページ超の本を読む労力をかけるに見合うだけの面白さだとはいえなかった気がします。

どうも黄金期の作家のデビュー作は自分に合わない作品が多いな。
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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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No title

帽子のありかですけど、楽屋においてあったのは犯人のもので、被害者の帽子は犯人がずっともっていたって事じゃないですかね?
この作品で犯人を論理的に見つけるためには、事件発生当時の犯人の服装(ちゃんと帽子の描写もあります)と他の人々の服装の違いに気づけるかにかかっていると思うんですが・・・。
あと犯人の名前違ってますよ。

Re: No title

> 帽子のありかですけど、楽屋においてあったのは犯人のもので、被害者の帽子は犯人がずっともっていたって事じゃないですかね?
多分そうだと思われます。なんか色々勘違いしててすみませんでしたorz

> この作品で犯人を論理的に見つけるためには、事件発生当時の犯人の服装(ちゃんと帽子の描写もあります)と他の人々の服装の違いに気づけるかにかかっていると思うんですが・・・。
そうですね、犯人と他の人の服装の違いについて言及されてましたね

> あと犯人の名前違ってますよ。
そうでした、バリーでした、何か色々とボケてましたorz

色々とご指摘ありがとうございます。未熟者ですがこれからもどうぞよろしくお願いますm( __ __ )m
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