邪悪の家 アガサ・クリスティ

邪悪の家 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)邪悪の家 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
(2004/02/20)
アガサ・クリスティー

商品詳細を見る

<あらすじ>
 休暇中のホテルでポアロとヘイスティングズは、ホテルのすぐ近くの古びた邸エンドハウスの若き女主人ニックと出会う。彼女の帽子に銃痕と銃弾を発見したポアロはニックの警護を買って出る。彼女は三度も命の危機に陥ったことを告白し、ポアロは調査を開始する。邸に出入りする人間から証言を集めるポアロであったが、調査は一向に進まない。
そんな中、邸でパーティーが催され、ポアロたちが見守るなか一発の銃声が…。


 筆者が初めてクリスティを読んだ作品。なので結構思い入れがあります。ニックを守るため、調査をするポアロですが、誰が犯人かも、何故彼女が狙われるのかがわからずポアロは苦戦します。それもそのはず、ポアロは心理を重視する探偵です。動機がわからなくては動けません。友人のヘイスティングズが「ポアロも老いたか」とため息を吐くほど。基本的にどの作品でもヘイスティングズはポアロのことを信用しないけど(笑)

 だいたい、ミステリといったものは死体とその関係者たちとのドラマがありますが、この作品においてはそのドラマが見えないために動機が見えてこずポアロが苦戦します。この作品の前半はそのドラマを探すことに費やされるわけで、少々地味ですが自分はそれが結構楽しい。まるで、探偵といっしょになって事件を調査しているような錯覚に陥ってしまうんですね。憤慨するほどポアロが苦戦してるから、なおさらそう感じてしまう。

 やがて、新たな事件が発生し、被害者を出してしまったことにポアロは落胆します。しかし、咄嗟のことにポアロはあることを発見します。ついにポアロはニックが狙われている理由、隠れたドラマを見つけたのです。
 事態が一転、発見したものをもとにポアロが調査を再び開始します。その後、物語はあれよあれよと進み、フィナーレへ。そしてラストにはどんでん返しが待っています。

 クリスティのなかではトリッキーなものは少なく、正当で読みやすい作品なのでクリスティないし初めてポアロを読む人にもお薦めの作品です。

※ここから続きはネタバレがあります
 射殺されたのはニックではなく、ニックの従妹マギーであった。ニックのショールを着ていたたま、間違ってマギーが殺されてしまったのだ。殺人を止めることができなかったポアロは落胆にくれるが、新たな事実が判明した。
 有名な飛行家マイケル・シートンが死亡したとのニュースが入った。シートンとはマグダラ・バックリーと婚約していたのだという。シートンはマグダラに全財産を残すと書いた遺言書を残していた。ニックは実は愛称で、マグダラが本名であることをポアロは知る。ポアロはついに動機を見つけたのだ。ポアロはヘイスティングズとともに捜査を再開するのだが…。


 なんと犯人は狙われていたニック本人です。パターンとしては頭に入っていた人もいるでしょうが、確実にこいつが犯人であるとたどり着くまでにはなかなか至らなかったはずです。
 その原因は、1、周りの人間がそれぞれ秘密を隠し持って怪しい人間に見えること。木を隠すなら森の中ですね、枝葉の謎が本筋の謎をうまく隠しています。
 2、はポアロが騙されていてニックを容疑者に入れなかったこと。なんだかんだいって読者は探偵の言うことを信用してしまいます。
 3、そして動機がなかったこと。これが一番大きい。他の作品でもそうですがクリスティは犯人だけでなく動機の隠し方も上手い。実は殺されたマギーも本名がマグダラだった。シートンと婚約していたのはマギーだったのです。

 シンプルなプロットの作品ですが、被害者が犯人ということにこだわってごてごてした装飾を付けなかったことがこの作品の勝因だと個人的に思っています。
スポンサーサイト

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

劣化

Author:劣化
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR