招かれざる客 アガサ・クリスティ

招かれざる客 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)招かれざる客 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
(2004/09/16)
アガサ・クリスティ

商品詳細を見る


<あらすじ>
霧の深い夜、車の故障のためマイクル・スタークウェッダーはある屋敷に立ち寄る。屋敷に入ったスタークウェッダーが目にしたものは、屋敷の主人の死体と銃を持って立ちつくす夫人の姿であった。


小説ではなく戯曲(演劇)の脚本をそのまま本にしたものです。クリスティは小説家だけでなく戯曲家として優れた作家だったようで、その代表作として『検察側の証人』『ねずみとり』などが有名です。

小説と違い、最初に舞台の上にある椅子、机など小道具の場所の説明が入ります。文だけだと覚えるのが大変ですが、絵でも説明してくれるので舞台の様子を簡単に把握する事ができます。
演劇の脚本ですので、台詞以外の文章はほとんど無くて、登場人物の動きなど最低限の説明だけしかありません。また、一つの限定された場所で話が動く事が大半で、場所移動が少ないです。
最初はそれらの小説との違いに手間取って読むのに若干苦労しますが、慣れるとあ~ら不思議、ほとんど台詞だけなんでスラスラ読めます。ただでさえクリスティは読みやすいんだから、あっという間に読み終えてしまいます。


あっという間に読み終えてしまうからといって、内容が薄いなんて事はありません。屋敷という限定された場所の中で話が二転三転と目まぐるしく展開し、短いながらも読みごたえのある作品です。
あらすじに書かれているとおり主人公であるマイクル・スタークウェッダーが屋敷の中で死体を発見した事で物語は始まります。死体の傍らにいる銃を持った美しき女性、ローラ・ウォリックは自分がそこにいる男性、自分の夫であるリチャード・ウォリックを殺したと告白します。
そこで、何を思ったのかスタークウェッダーは騎士道精神かただのカッコつけか、ローラにひとめぼれしたのか、なんとローラを庇うため、彼女の犯行を隠そうとします。

その方法とは別の犯人を作る事。スタークウェッダーは主人であるリチャードを殺すような動機を持ってる人間がいないかとローラに尋ねます。そこで次々と明らかになるリチャードのクズっぷり。話聞いてるだけで、殺されて良かったねって思える人物ですねリチャード。
スタークウェッダーはローラの話の中で、リチャードが昔起こした交通事故の話に目を付けます。その時死んだ子供とその父親。その父親は今、イギリスにはいなくて外国にいるのだとか。これは好都合とスタークウェッダーは彼を仮想犯人に仕立て上げようと色々細工をします。

これで、ローラは容疑から外れるはずだと二人は胸をなでおろすが…、怪しい事情を持った屋敷の住人たちの登場と次々と明かされる真相のせいで事態は二転三転と目まぐるしく展開してしまいます。
誰も彼も怪しく見える、いったい誰が犯人なのか? まさにクリスティの真骨頂です!


※ここから続きはネタバレがあります

なんと真犯人は車の故障でたまたま屋敷に立ち寄った男マイクル・スタークウェッダーであった!

主人公である彼マイクル・スタークウェッダーが真犯人じゃないかとちょっとでも疑っていた人は、それなりにいると思います。
ですが、クリスティが用意したミスリードのせいで、読者は混乱し次第にスタークウェッダーはやっぱり犯人じゃないのかな?と思うようになっています。
極め付けはラスト一歩手前、犯人であると指摘され、自分が犯人であると認めてしまう容疑者が出てきたせいで、それで事件は幕を閉じると思わせられてしまいます。
ところがどっこい、スタークウェッダーはローラに自分の推理を聴かせ、犯人は別にいる事を指摘し、最後自分が犯人である事を告白し屋敷を去っていくのです。
くぅー!かっこいいな!自分の犯行を告白した後、未亡人の手にキスをして去っていくとかキザすぎるよ!
主人公マイクル・スタークウェッダーが殺人者でありながらカッコイイと思えるのは、彼が金のために人を殺すような男でなく子供を被害者に殺された復讐者だからだろうなあ。もちろんクリスティの筆力のおかげでもありますが。

ローラの殺人者を呼ぶ声と汽笛が鳴る中、屋敷から霧の中へと去っていくラストはクリスティ作品の中でも屈指の幕切れです。
スポンサーサイト

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

劣化

Author:劣化
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR