本陣殺人事件 横溝正史

本陣殺人事件 (角川文庫)本陣殺人事件 (角川文庫)
(1973/04/20)
横溝 正史

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日本推理小説界で一番有名な探偵といえば?多分、金田一耕助の名前が挙がるでしょう。(ドラマや映画の力も大きいけど、後、孫の)
『本陣殺人事件』は金田一耕助の記念すべきデビュー作であり、名作として名高い作品です。
発表された当時だけでなく、現代でも「東西ミステリーベスト100」の国内編10位に入るなど評価の高い作品です。


実はこの『本陣殺人事件』、ページ数的には200ページ弱の中編で、本として出す場合短すぎると出版社が判断したのか、角川文庫では短編が二つ収録されているのです。
収録されている短編は『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』の二つです。『本陣殺人事件』に比べると、その二作は知名度の点で劣りますが、どちらもなかなか優れた作品です。特に、『車井戸はなぜ軋る』はこの本で最もページ数の少ない短編でありながら、内容の充実度では中編『本陣殺人事件』どころか長編作品にも負けない作品であると個人的に思ってます。
実を言うと、自分は『本陣殺人事件』より『車井戸はなぜ軋る』の方が好きです。
あ、『黒猫亭事件』はまあまあの作品だと思いますよ、特に凄いとも思わないけど(扱いひど!)


『本陣殺人事件』

その評価が示すとおり、戦前の田舎の閉塞化した空気や、おどろおどろしい雰囲気がよく書かれていて、密室トリックもよくできていて、名作という評判に偽りなしの凄い作品だと自分も思います。
ですが、実は自分この作品があんまり好きじゃないんですよねぇ。
機械的なトリックを成立させるために、登場人物の行動が強引だったり無理があるところがあったり、そのせいかミステリーとしてよくできていても物語としては面白くないんだよなあ。後、途中で真相を読めてしまったのも自分の中では減点かも。あくまで個人的な感想で、名作とされる評価にケチをつける気はないですよ。

『車井戸はなぜ軋る』

こちらは戦後のお話。事件の背景となる一族の物語は戦前から始まっておりますが。
なんと、探偵役を務めるのが金田一耕輔ではなく、わずか17歳で命を散らした病弱の令嬢本位田鶴代ちゃんが事件の謎を追求することになるという異色作です。
本来なら、この作品は金田一と関係のない短編小説だったんですが、後で金田一の出番を追加して(本当にチョイ役で出てくる必要がないのだが)金田一ものとして収録されるようになったそうです。出版社としてはたとえチョイ役でも人気キャラクターのシリーズ作品の方がノンシリーズ作品よりも読者の興味をひくと考えたのでしょう。そういえば、アルセーヌ・ルパンでも、そういうタイプの作品があったな。
この物語は金田一が手に入れたとある事件について記された鶴代の手紙やある人の手記、新聞記事などによって構成されています。
鶴代の手紙は療養中の兄に向けられたもので、その手紙を通して事件が語られていきます。
ミステリーとしても、物語としても優れていますが、今作のヒロイン鶴代の儚げで健気な様子が印象に残ります。

『黒猫亭事件』

戦後のお話。前二作と違い、田舎ではなく、荒廃した東京での事件です。
ミステリーで定番の“顔の無い死体”を扱った作品です。


※ここから続きはネタバレがあります
『本陣殺人事件』

実は、密室の中にいた人間が妻を殺し、その後の自殺を、殺人と見せかけるというトリックが使われている。
たまたま雪が降る日であったため、足跡の無い密室ができあがってしまったのだ。

『車井戸はなぜ軋る』

なんと真犯人は、鶴代が手紙を送っていた兄慎吉であったのだ。鶴代の手紙は慎吉に向けて語られているのだが、慎吉自身は手紙で語られる物語の中では一切出番が無いのだから、かなり意外性の高い犯人である。
犯人の意外性は素晴らしいのですが、アリバイトリックは某海外作品のトリックまんまなので、ちょっと評価に困ります。まあ、使い方が良いから、許せるかな。

・『黒猫亭事件』

“顔の無い死体”でよくある死んだと思われていた人間は実は生きていて、死体は別の人間であるという真相を逆にミスリードさせてアレンジしたのが今作の真相。
なかなか面白い試みだと思うんだけど、作中でいつもの“顔の無い死体”とはちょっと違うぜ!みたいな事を書いて読者を煽っちゃってるので、真相がだいたい読めてしまうのが残念。余計な事を書いて無けりゃ引っかかっていたかもしれないのに…。
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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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